東京諸島の伝統文化
歴史発掘 硫黄島クロニクル・島民の運命

歴史発掘 硫黄島クロニクル・島民の運命

硫黄島 クロニクル~島民の会~

元島民らが島の歴史を後世に伝えようと「冊子」を作成

郷友連合会理事長 梅田勉
硫黄島全景
硫黄島全景
硫黄島クロニクル

東京から南に一二五〇キロ、沖縄から一、三八〇キロ、サイパン島から一、四〇〇キロ、硫黄島は東京島嶼である小笠原諸島の一つである。北硫黄島、硫黄島、南硫黄島の三つの島からなる火山列島で構成されている。太平洋戦争で激戦地となった硫黄島の歴史を後世に伝えようと元島民らが小笠原村の補助や寄付で冊子を完成させた。

太平洋戦争で戦況が悪化した昭和一九年、軍属を除く全ての島民が本土へ強制的に疎開させられた。島には今も無数の不発弾が残り住むことはできない。日本軍二万人以上、米軍七千人が戦死した硫黄島での激戦は、映画や書籍で広く紹介されているが、島民がいたことはあまり知られていない。

「全国硫黄島島民の会」が戦前の暮らしぶりやふるさとへの思いを記録に残すため冊子を完成させた。「開拓期」、「島民と戦争」、「硫黄島の現状」など八つの章で構成され、戦前、戦中、現在に至るまでの経緯が時系列に紹介されている。硫黄島には戦前、約一、一〇〇人が暮らす豊かな暮らしがありました。

冊子は各都道府県の図書館に寄贈され、市販はされていないが元島民のふるさとへの思いは深く、硫黄島の帰島促進運動が行われていることを知って欲しいと思います。

連合会だより9号より